人生の伴侶へ愛を綴った三組の夫婦の物語
一度は別の道を歩む孝平とちひろ

孝平(中村雅俊)とちひろ(原田美枝子)の物語
大手建設会社の京亜建設で重役まで登りつめた橘孝平は野心家のビジネスマン。これまでの人生の大半を会社に捧げ、高度経済成長期の花形だった建設業界で日本経済を支えてきたという自負がある。

その一方、仕事一筋に生きてきた"つけ"なのか、家庭生活は冷え込んでいた。定年を間近に控えた孝平は、これを期に、すっかり愛情の冷めてしまった専業主婦のちひろとは離婚し、愛人の夏美(原沙知絵)が経営する建設事務所で、第二の人生のスタートを切り、若いスタッフと苦楽を共にしようと考えていた。

父親の言われるがままに孝平と結婚してから30年、その多忙さで家庭を顧みない夫に愚痴一つこぼすこともなく尽くしてきた専業主婦のちひろ。孝平の退職日を迎えたちひろは、鯛の刺身と腕を振るった手料理で夫・孝平の帰宅を待つ。妊娠した一人娘のマキ(星野真里)も同棲中の八木沼(内田朝陽)と一緒に、父親の退職祝いにかけつけるのだが、特別な日にも関わらず肝心の孝平は帰ってくる気配がない。

夫が出て行き一人になったちひろだが、家事に育児に忙しい日々を送ってきた専業主婦の性なのか、いざ自由になると何をすればいいのかわからず、時間を持て余してしまう。そこで一念発起したちひろは、第二の人生のスタートとして家政婦の仕事に挑戦しようと決意する。

勤め先となったのは、翻訳家の麗子(戸田恵子)のマンションだった。一等地で独身の生活を満喫しているように見える麗子。これまで専業主婦として生きてきたちひろにとって、まさに違う世界の住人だったが、ちひろの料理の腕前に麗子が惚れ込んだのをきっかけに、二人の距離感は縮まっていく。

そんなある日、麗子はちひろをミステリー作家の麻生圭一郎(石黒賢)が主催するパーティーへと誘う。全く足を踏み入れたことのない世界で気後れするちひろだったが、麗子の勧めるままエステ、ネイル、そして華やかなドレスでオシャレをすると別人のように若返り、美しくなった。その姿に惹かれた麻生は初対面のちひろを食事に誘うが、ちひろは戸惑うばかり。「あなたは今まで恋をしてこなかった」という麻生の言葉に動揺するのだった。

一方、愛人の経営する建設事務所で第二の人生を始めた孝平は、京亜建設時代に仕事上の付き合いの長かった施工業者に工事の受注を依頼しにいくが、「うちが付き合ってきたのは、あなたじゃなくて京亜建設だ」とけんもほろろな扱いを受ける。"橘孝平"という人間が、その能力と魅力で培ってきたと思ってきた人脈とキャリア。それは全て「京亜建設」という看板の下にのみあったのか? これまでの自分の愚かさに落胆する孝平。

打ちひしがれて戻った事務所では、そコンペ通過の可能性がないと孝平が叱責した若手スタッフの企画が採用され、祝宴の用意がなされていた。一夜にして、これまでのキャリアが否定されたような屈辱を感じ、自分の居場所が見出せない孝平に焦りが募る。そんな時、娘・マキが出産したとの連絡を受ける。

病院に駆けつけた孝平は、久しぶりに前妻と再会するが、ちひろからは第二の人生を楽しんでいる様子がありありと伝わってくる。なによりも自分と一緒にいた頃には見せたことのないくらいよく喋り、よく笑い、美しく輝いていたのだ。娘を見舞った帰り道、ちひろは空腹で疲れ果てた孝平を自宅に誘い、焼いた魚の干物を作ってあげる。

元妻の手料理を久々に口にした孝平は「美味いなぁ」と夫婦でいた頃には見せなかった表情でしみじみと食べている。その姿を見て、なにか悩んでいることがあるのではないかと感じたちひろは、元夫に対して優しい言葉をかける。玄関で孝平に上着を着せ、鞄を持ち、見送る―。過去30年間、毎日のように繰り返してきた習慣にちひろは懐かしさを感じるのだった。

ある日、産後のマキと孫となる赤ん坊の見舞いで産婦人科に来ていた孝平を、かつて新婚旅行で訪れた四国の写真館で働いている若者・北島(石田卓也)が訪ねてくる。彼はその写真館でちひろが30年後の孝平に宛てて書いたという手紙をはるばる持ってきたのだ。手紙に綴られているのは、ちひろの孝平への語りつくせない想いだった。自分にとって本当に大切な存在にようやく気づいた孝平は、ある決意を胸に夜の街を疾走するのだった―。


ビートルズファンは共感を覚えます

正彦(イッセー尾形)と光江(綾戸智恵)の物語
魚屋を営む正彦(イッセー尾形)と光江(綾戸智恵)は、口の悪さが災いして喧嘩が絶えないが、元気で明るい熟年夫婦。糖尿病を患っている正彦は、血糖コントロールのため定期的に内科の病院に通っている。光江は夫の主治医である静夫(井上順)の指示を守り、食事のカロリーに常に気を使い、正彦も血糖値を改善するための運動療法の一環として、毎晩、ウォーキングに精を出している。

ある日、正彦は立ち寄った楽器店のショーウィンドウに、ポール・マッカートニーも愛用していたマーチン(ギター)が飾られているのを見て興奮する。それもそのはず、正彦と光江は、青春時代、ビートルズにしていたのだ。

しかも、集団就職で上京した光江は、当時追っかけをしていたビートルズのコピーバンドでヴォーカルを担当していた正彦に口説かれて結婚したのだ。青春時代の憧れの結晶とも言える名器を前に恍惚とする正彦だったが、値札についた27万円の金額にただ溜息をつくのだった…。

毎日の運動療法と妻の献身的な献立の甲斐もあって、主治医の静夫は定期健診の結果は改善傾向を示しており、正彦の血糖値は正常化しつつあるという。結果に喜ぶ二人だったが、何の障害もない診察室内で光江がドアに頭をぶつけたことを不審に思った静夫は光江を診察する。そして精密検査の結果、光江に脳腫瘍があることが発覚する。

60歳が目前の正彦は、そろそろ魚屋を畳んで光江の実家で母親と一緒に生活しようかと話をしていたばかりだった。早急の摘出手術が必要と宣告され正彦は憤る。そして迎えた手術当日、正彦はストレッチャーに乗せられて手術室へ向かう光江に「俺より先に逝ったりしたら許さない」と力強い励ましを送るのだった。

手術が終わり、一旦我が家に戻った正彦は、光江が「押入れの戸の調子が悪い」と言っていたのを思い出す。押入れを開けて確認すると、なにやら大きな箱状のものが入っていることに気づく。それは先日、正彦が楽器店で見た憧れの名器マーチンだった。実は正彦の誕生日に驚かせようと、光江が内緒でプレゼントとして用意していたのだ。光江への想いに咽び泣く正彦は妻が待つ病室へ向かい、回復を祈りながら夜通しで思い出の曲「ミッシェル」を弾き語るのだった…。


年頃の娘がいると再婚は大変

静夫(井上順)と麗子(戸田恵子)の物語
5年前に愛妻に先立たれ、現在はは高校受験を控えた娘・理花(金澤美穂)と二人で生活をしている内科医の静夫(井上順)。海外医療ドラマのベン・ケーシー(ヴィンセント・エドワーズを主役に配して60年代前半に高視聴率を記録した)の活躍に魅せられて医者を目指し、大腸菌の研究に心血を注いだ静夫だったが、ライバルであるアメリカの研究チームに先を越され出世街道からは大きく脱落。以来、中途半端な人生を送っている。

そんな静夫だったが、最近は生活に張り合いのようなものが出てきたと感じている。というのも、海外医療小説の監修を依頼をしてきた翻訳家の麗子(戸田恵子)と仕事で顔を合わせるのが待ちきれないからだ。

一方の麗子も独身で、実直さが滲み出ている静夫に好意を寄せていた。こと専門分野の細菌に話題が及ぶと、別人になったように熱弁を振るうその姿に年甲斐もなく胸がときめくのだった。

ある日、麗子は、いつも監修をお願いしているお礼にと、静夫と理花の親子を自宅に招待する。しかし、娘の理花は、麗子がタバコを吸い、酒を飲み、華やかに生きるその姿に戸惑う。亡き母親と全く違うタイプの麗子は、父親と不釣合いだと感じた理花は、悪態をつき、一人で帰ってしまう。静夫は大人気ない理花の振る舞いを叱りつけるが、どうしようもなかった。

当直の予定が入っているから、病院へ行かなければならないと詫びる静夫に、麗子は笑顔で別れを告げる。「恋なんてしなければよかった…」と自己嫌悪に陥る麗子。周りからは経済的にも自立した華やかで強い女性と思われているが、そうではないことを自分が一番よく理解しているのだ。翌朝、麗子のマンションを当直明けの静夫が1通の手紙を手にしてやってくる。それは、わからない部分があるから麗子に訳してもらいたいという理花が書いた英文のラブレターだった。

出演者紹介

人生の伴侶である夫、そして妻への感謝を手紙に綴る応募企画「60歳のラブレター」。同企画に着想を得て映像化した本作品は、パートナーとこれから人生をどう歩んでいくのか、何より<わたし>はどう生きるのかについて、勇気と希望を与えてくれる。

60歳を目前に人生の分岐点を迎えた職業も生き方も異なる3組の夫婦を演じるのは豪華俳優陣。仕事一筋で家庭を顧みなかった建設会社の元重役・橘孝平には、俳優として円熟味が増してきた中村雅俊を起用。そんな夫を一途に支えてきたが、離婚を期に、新しい生き方を模索しようとする妻・ちひろを演じるのは、2度の日本アカデミー賞最優秀助演女優賞に輝いた実力派・原田美枝子。

また、歌手の夢を諦めて家業の魚屋を継いだ正彦役にイッセー尾形、その妻を綾戸智恵、出世コースから脱落した内科医を井上順、彼に想いを寄せる翻訳家を戸田恵子、そのほか星野真里、石黒賢などが出演している。

監督は、弱冠32歳ながら演出力が高い評価を得ている深川栄洋、脚本は「Always 三丁目の夕日」「キサラギ」など話題作を手がける古沢良太。主題歌の『candy』を歌うのは森山良子。

婚活のポイント
二人の将来に幸あれ!

私の友達(女性医師)は「授かり婚」でしたが、後期臨床研修を終えて間があまりなく、医師として非常に忙しい日々を送っていたこと、お相手の男性医師も日々の診療、オンコールや学会で忙しく、結婚式の準備に費やす時間がなかったとボヤくことしきりでした。

ある高名な学者さんによると、脳が恋愛に最適な状態にあるのは20歳代半ばだそうですが、医師は国家試験に合格後の臨床研修の期間に該当しています。そのため、女医の婚活を見てみると、同じ大学病院で働く医師や医学部時代の同僚とカップルになるケースが圧倒的に多いですね。

本人は結婚式の前に子供を授かったことはあまり気にしていませんでしたが、両親は突然、結婚と妊娠を告げられて驚くことはもちろん、医師としてのキャリアのスタートに心配をかけたのではないかと言っていました。

授かり婚でよく聞く話は、両親が同世代の人から「やむ得ない結婚」をしたと誤解されるのがつらいということです。双方が働いていて生活面・経済面の将来設計があれば、親御さんも安心すると思うんですがね〜。やはり世間的な対面が気になるのでしょうか。

妊婦さんの体は妊娠時期によって、どんどん変化するため、結婚式の準備や挙式などで体に負担がかからないようにしたそうですが、妊娠した本人が女医さんなので、安定期に入って体調も安定し、お腹をそれほど目立っていない妊娠6ヶ月目に挙式するのが最善と考えたそうです。

体調のことを考えて、出産後に挙式をする人も多いようですが、けじめとして出産前に結婚式を行うのが正しい筋の通し方と考えたり、子供が生まれて体と育児に忙しくなりそうなどの理由で、出産前挙式を選択するカップルの方が大勢を占めているようです。

つわりが治まったころに結婚式の準備に入って、妊娠6ヶ月目に挙式する場合、逆算すると準備期間は3ヶ月間しかありません。友達は細かい空き時間を利用してスマホで情報を集めて資料請求を行ったそうです。最近は、「おめでた婚」プランと銘打って、時間のないカップルのために最短1ヶ月で挙式を上げられるホテルや結婚式場もあるそうです。